論理的な思考や文章を書くときにお勧めしたい本(日本語リテラシー、理科系の作文技術)
簡潔かつ論理的に考えて文章を書く方法を教えてくれる2冊の本(日本語リテラシー、理科系の作文技術)をご紹介します。
【目次】
[1]はじめに
記事『50代半ばの技術者がブログを始める理由』で、私は文章を書くことが苦手だと書きました。実は今でも苦手なのですが、それでもこのようなブログを「書くこと」の支えになった本がありますので、ご紹介させていただきます。
その本とは、
です。
この2冊の本は、人の心を打つ、あるいは感動的な文章を書く方法ではなく、
- 主観を交えず、簡潔かつ客観的に説明する文章(報告書など、究極的には学術論文?)を書くための方法
を教えてくれる本です。
と書くと、かなりお堅い内容のように思えますが、文章嫌いの私ですら、のめり込むように読めました。しかも、文章の読み方や思考方法もセットで理解できます。
(最近は「論理思考」などもキーワード化していますが、これとも密に関係していると思います。)
Webライティングでよく言われるような、人を引き付けるような文章のアプローチとは少々違うかもしれませんが、論理的に人を説得したいケースでは役立つスキルだと思います。
また、私には文才がない、と強く思っていましたが、これらの本を通じて、客観的な文章は「文才よりも努力(練習?)」と感じました。ならば、文才は無くても説明文として書けばいい、と考えることができて、ブログを「書く」勇気をもらったと思っています。
論理的な文章を書いてみたいと思っている人はもちろん、文章が苦手とか文才がない、と思い込んでいる人には、ぜひお勧めしたい本です。
(少なくとも、論理的な文章とは何か?を考えるヒントにはなると思います。)
[2]日本語リテラシー(滝浦真人 著)
実は、放送大学の教科書です。
とはいっても、講義と関係なく、この本だけ読んでも、とても面白いです。
放送授業では、NHKの教育テレビを見ているような感じで(笑)、先生とマー君、ことのはちゃんとの掛け合いもあり、ゆるい感じで見ることができます。ただ、「面白かった」という印象はあったのですが、理解の程度としては「分かった気になった」という感じでしょうか。
一方、この本は、放送授業と比べると、かなり硬派です(笑)。
硬派と書くと、難しそう、と誤解されそうですが、その逆です。しっかり書かれているという感じで、「ちゃんと理解できた」系の感動がありました。
この本のまえがきに「書いて表現するというアウトプットを到達点として描きながら、そこに至るまでのプロセス全体に目配りするという考え方を採った」と書いてあります。
目次を見ると、その考え方が反映されています。
- 日本語を書こう
- 日本語との付き合い方①:文字と表記
- 日本語との付き合い方②:和語と漢語と外来語
- 読むスキル①:まとまりを読む
- 読むスキル②:つながりを読む
- 考えるスキル①:論理トレーニング
- 日本語との付き合い方③:「は」と「が」の語り
- 書くスキル①:説明文を書く
- 書くスキル②:文体と論理
- 考えるスキル②:言えることと言えないこと
- 考えるスキル③:考えを導く方法
- レポートを書く①:論点の整理まで
- レポートを書く②:調べる・考察する
- 実践のスキル:自己添削の方法
- これからも、日本語を書こう
「日本語との付き合い方」のところはウンチクとしても面白いのですが、「書くスキル」の前に、「読むスキル」と「考えるスキル」があり、「書く」ための前提となるプロセスも順序立ててしっかり説明してくれます。
そして一連のスキルを使って自己添削します。添削は別の人がやる事、と思っていましたが(というより、自分の文章を評価できなかった?)、自己添削の発想は、確かにその通り、という気がしました。
考えて見れば、英語をネイティブレベルで話せる人は、英語を英語のまま聞いて、英語で考えて話していると思います。つまり、聞く、考える、話すはセットだと思います。
普段の話し言葉としての日本語と、客観的な文章における日本語は、(良し悪しではなく)別次元のものなので、客観的な文章を、読む、書く、考えるスキルをセットとして鍛えることが必要だと思いました。
(参考)
私は2年前に放送授業を見て本(2016年版)を読んだのですが、このブログを書くにあたり、調べてみると2021年度から改定版になったようです。
Youtubeに科目紹介がありました。(放送大学「日本語リテラシー(’21)」(テレビ科目紹介))
この映像を見ると、新しい授業内容はわかりませんが、2016年版と少々雰囲気が変わったかも?(マー君はあまり変わっていない気がしますが、ことのはちゃんが、少し変わったかも?)
[3]理科系の作文技術(木下是雄 著)
古い本(初版は1981年)ですが、今でも売れている超ロングセラー本です。
有名な本で、ネットにも紹介記事も多く、私が書くのは恐れ多いです(笑)。
先の「日本語リテラシー(滝浦真人 著)」の書き出しは、この「理科系の作文技術」からの引用で始まっています。
恥ずかしながら私は数年前に初めてこの本を読んで、文章に対する印象が大きく変わり、その流れで「日本語リテラシー」を見ました。
文章嫌いだった私が最後まで読めたのは、冒頭の「チャーチルのメモ」から「この書物の目標」の流れで、私が文章に対する偏見?を持っていたことがわかり、さらに、米国での英語教育と、日本での日本語教育の違いが少しわかったて、興味が持続したように思います。
ところで、タイトルが理科系となっていますが、内容は理科系に限ったものではありません。
実際には、文例が理系のものであったり、最後は論文や学会発表だったりするので少々硬い感じがするかもしれません。しかし、文例の内容は理解する必要はないし、また論文や学会発表は社内報告やプレゼンに読み替えれば、納得がいく内容だと思います。
時代を超えてロングセラーであることが、とても納得できる本です。
[4]感想文
もしかすると、これらの本の内容は、若い人にとっては学校で習ったりして当たり前の知識かもしれませんが、私のような少々年を取った文章嫌いの人間にとっては、かなり新鮮な内容でした。
正直、学生時代にこのような本に出会っていたら、自分が書いてきた文章がかなり違っていただろうと思います。それ以上に、思考方法が違っていたかもしれないと思います。
個人的には、思いついたことがあれば、それを最初から言語化するよりも、まずは可視化する(適当な絵を書くなど)ほうがよいと思っていますが、さらにブレークダウンしたりテストする場合は、論理的な文章を書くのがとてもよいと思うようになりました。
また、これらの本が述べていることを中途半端に実践すると、淡々とした読む気がしない文章になりやすいかもしれません。
しかし、文章そのものは淡々としていたとしても、内容の論理構成がうまくできていれば、読み手の負担も少なく、引き込まれるように読めるような気もします。実際、これらの本はそのように書かれています。
そして、裏付けをもって本の内容を「ちゃんと理解できた!」と実感した時は、感動します。これは、たぶん文章に感動するというより、内容に感動するということだと思います。
今後も、たまに読み返して、文章嫌いを克服していきたいと思っています。
ちなみに、本記事は論理的な説明文ではなく、感想文のようなものです。昨今流行り?のWebライティングなども勉強すべきかな、と思ったりして…
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