「エージェント」と「環境」を意識して業務システムを少し賢くしたい
本記事では、エージェントの考え方にある「環境」を意識して、便利というより、賢い業務システムを作るための考え方みたいなことを書いてみました。 【目次】 [1]はじめに [2]「少し賢い」業務システムとは? [3]環境と相互作用するエージェント [4]業務システムから見たAI技術 [5]AI技術導入に向けて (1)スマートデバイス、IoTデバイス (2)インターネット、クラウド、オープンソース (3)AIサービスの利用 (4)Society 5.0、DX、IoTプラットフォーム (5)AIアシスタント、RPA (6)オントロジー、推論など [6]最後に [1]はじめに 私にはAI技術の深い専門的知識はありません。しかし、長年業務システムの設計や開発に携わってきたこともあり、AI技術そのものよりも、AI技術を応用して業務システムを少し賢くする、という観点から、AI技術に注目しています。大企業の業務システムや大規模パッケージは別として、中小規模の業務システムやパッケージに携わっている方は、同じような興味を持たれているかもしれません。 そこで、今回は業務システムのデータ入力をとっかかりとして、「便利」というより「少し賢い」ことを目指した業務システムについて考えていることを書いてみます。結論は当たり前の話ですが、そう考えた過程に参考になる部分があれば幸いです。 [2]「少し賢い」業務システムとは? 業務システムは、データを入力して、そのデータを処理し、処理結果を出力するというサイクルを持っています。ダサい図ですが、こんなイメージです。 ここでは、元となる入力情報が電子データではなく、紙や画像の情報を元に、人間が入力画面を通じて、その情報を手入力するシステムを考えます。例えば、紙に書かれている顧客情報を業務システムの顧客入力画面から入力するといったものです。 一般に、業務システムでは、入力するデータの量(入力量が多いなど)と質(正しくデータを入力するなど)等の観点から、ユーザにとってデータの手動入力は負担が大きい作業といえます。この負担を軽減するため、業務システムでは、入力画面に何らかの入力支援機能を装備することが多いと思います。例えば、郵便番号を入力すると住所欄に市区町村レベルまで自動入力される機能や、過去に入力したデータを覚えている機能、似たような登録パタ...